連続するか分からない小説「はまぐり」第一話
これは、印刷会社で働いている東京生まれ東京育ちの夫婦が、
とあるプロジェクトをきっかけに、
三重県桑名市で奮闘する、多分ハートフルなお話です。
【第一話】
朝、東京を出発し、キャリーケースをひとつ。
で、まあ一度物件を見に行っていることもあり、
無事に桑名駅までたどり着けることができたとさ。
さて、ここから徒歩で不動産屋にレッツゴー!
とはいかないのである。
私達の物件を探してくれた親切な不動産屋は、
桑名駅からかなり距離のある、伊勢朝日という場所にあった。
三月の繁忙期だからか、迎えになどもちろん来てくれるはずもなく、
車も自転車もない私達は、駅前のタクシーをつかまえ、不動産屋に向かった。
道中、車内で落ち着きがない様子の私達を見かねてか、
タクシーの運転手さんが、それはもう今となっては思い出せないくらい、
色んな事を教えてくれた。
ただひとつだけ、
私達がハッキリと覚えている話がある。
それは、新鮮なハマグリを見分ける魔法の言葉。
ハマグリを出すお店の人に、通な感じでこう聞くといいらしい。
「それ、刺身で食えるか?」と。
つづく・・・