連続するか分からない小説「はまぐり」第五話
【第五話】
期待感を高めながら購入したものを二人で持ち帰り、いざパッケージから取り出すと、
「あれ、なんか、薄くね?」
ぎゅーっと圧縮されたマットレスが出てきた。
「時間が経ったら膨らむって、きっと。」
若干の不安を抱きながら、私達は食材の購入をしに、もう一度アピタに戻った。
夜ご飯として買った、iPad miniぐらい巨大なチキンカツにワクワクしながら帰ると、
部屋にはちょっと厚めのはんぺんみたいなのが、だらしな~い感じで寝そべっていた。
「たしかに、さっきよりは、膨らんだ、かな?」
「うん、ちょっと試しに寝そべってみよう」
おやおや。まるで床に寝ているようだ。
ネットで口コミを調べてみると、
「体の大きい方には不向きです。」
との言葉が。
そうなのです。
低反発マットレスは体重が重かったり、体が大きい人には、
マットレス自体が沈んでしまい、体が床についてしまうのです。
それはもう、床で直接寝るのとほぼ同じ。
絶対に避けたかった選択を、自ら選んでいたとは。
すぐさまアピタに返品の相談に行ったが、
担当の店員さんには「一度開封したものは返品できないんです・・・」と言われてしまった。
じ、じゃあ、開封しないでどうやって試すんだよおっ!!!!!!
と、思っても直接言えないのが、私達です。
その日はすごすごと引き返し、
案の定、上質な睡眠が出来ず、身体がバキバキになる夜を何日か我慢した後、
今は、分厚いマットレスで十分に睡眠がとれているとさ。
つづく・・・
これは、印刷会社で働いている東京生まれ東京育ちの夫婦が、
とあるプロジェクトをきっかけに、
三重県桑名市で奮闘する、多分ハートフルなお話です。